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■山村浩二 「数々の受賞、おめでとうございます」 18期生 美術学科卒業
 
 

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 今や時の人・・といっても過言ではないはず。最新作の短編アニメーション「頭山」が、数々の受賞を総なめにしている山村浩二氏です(山村氏の数々の受賞がいかにすごいか!は、左のコメントをご参照下さい)。取材攻撃が続くお忙しい中、校友会の皆さんに向けて、メッセージを頂きました。

 アヌシーでのグランプリ受賞は、久里洋二氏も手塚治虫氏も川本喜八郎氏も達成できなかったことで、日本人作家初の快挙です。アヌシーはカンヌ映画祭に由来する世界最高の伝統と権威を持つアニメーション映画祭で、その賞の格はアカデミー賞以上ですが、一般的にはあまり知られていないので、一般紙での報道が遅れたのは残念です。アニメーションの世界ではノーベル賞のような最高の賞です。伝統と格式を誇るということもあって、なかなか欧米の作家以外は受賞できないのですが、その中での受賞は本当に快挙というほかはありません。(小出正志)

「頭山」の数々の受賞

・オランダ・アニメーション映画祭2002審査員特別賞
・平成14年度(第6回)文化庁メディア芸術祭
 アニメーション部門の優秀賞
・第75回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネート
・第15回ドレスデン国際アニメーション&短編映画祭で
 国際アニメーション部門のグランプリ
・チェコの第2回国際アニメーションフェスティバル・
 アニフェス2003トレボンで最優秀短編賞
・アヌシー2003国際アニメーション映画祭でグランプリ
・ハンガリーのメディウェーブ2003で最優秀アニメーション賞
・アルス・エレクトロニカ・フェスティバル2003の
 コンピュータ・アニメーション/
 ビジュアル・エフェクト部門で準グランプリ
(主要な賞のみ:受賞順)

■僕なりにアニメーションの表現を追求した結果〜数々の受賞について
 今回の一連の受賞は、僕なりにアニメーションで出来ることは何かと追求したことを評価してもらったのだと思う。最新作の「頭山」では、自分の力を出しきった。それが、世界のアニメーションのレベルで高く評価されて、とても嬉しい。でも、取材が多くて、作品をつくる時間がなかなかとれない・・。
 日本で短編アニメーションの評価する機会といえば、広島の国際アニメーションフェスティバルがあるけれど、あまり一般的に知られていない。まだまだ海外で認められてから初めて日本で評価されるという逆輸入的な評価だ。日本でもきっちりと評価する機会があればいいと思う。また、こういう短編アニメーションは興業にかかることも少なく、たまにテレビでポツンと放映される位で、一般の人の認知が低い。でもここ数年は、DVDの普及もあり、いろいろな作品がリリースされてきている。もっと高まってくればいいと思う。

■美術とデザインの間で〜大学在学中
 現在、造形大学ではアニメーションの専攻を準備し始めているようだけど、もちろん僕の頃にはデザイン科の中に映像があっただけ。映像をやる人は普通はデザイン科に入ったようだ。僕みたいに絵画からアニメーションを目指すというプロセスは珍しいのかもしれない。でも、絵を勉強していく中で、その絵を動かそうと自然にアニメーションに入っていくことだってある。僕は大学に入学する前からアニメーションをつくっていたこともあるけれど、美術という発想の中からアニメーションが出てきたと思う。それに、入学して東京に出てきて、地方では観ることができないアニメーションをいろいろ観たこともとても刺激になった。そうして徐々に絵画の表現よりアニメーションにシフトしていった。
 在学中は映像のスタジオによく忍び込んでいた。映像史や映画理論といった講義は美術の学生も受けることはできるけれど、実習は受けられないからね。卒業制作もアニメーションで。絵画の先生では評価できないので、デザインの中川先生に指導してもらった。
 今でも絵画とか彫刻の専攻でアニメーションをやりたい学生は、もぐりで忍び込んでいるらしい。広告表現や映像表現とかいう中でアニメーションがあるけど、美術の中にもアニメーションというカテゴリーがあってもいいような気がする。デザインというカテゴリーにはまらなくてもいいと思う(大学教育にとやかく口を出すつもりはないけれど)。でも、在学中、友人達の間ではデザイン・美術は特に気にしなかったな。絵を描いている人はちょっと汚い。でもデザインの人はこじゃれた感じという見かけの違いくらいだった(笑)。

■スタイルを固めることばかり追わないで〜若手の方々へ
 僕もそうだったけれど、在学中は何かを表現したい、何か形にしたいと模索している時期。中には、早く作家やデザイナーにならなくてはと焦ってしまう人もいる。そして、慌てて個展をやったりと、スタイルばかりにとらわれてしまう。追求しているものが見つかるのはその人によって時期が違う。だから、大学四年間できっちりと形になって、デザイナーになったり、画家になれるというわけではない。それよりは、今、自分はどこまで出来ているのか、そして、自分のやるべきことを探すことが大切だと思う。卒業後、すぐにでなくてもいい。就職してから、在学中とはちがった何か別のものが見つかることだってある。必ずしも作家やデザイナーになるだけではないはずだ。とにかく、今の自分と真剣に向き合っていてほしいね。

 

大人も子どもも楽しめるアニメーション「ヤマムラアニメーション図鑑vol.2」

 「10年間くらい子供向けのアニメーションの制作をやってきた。でも、子どもだけに発信するのではなく、大人も子どもも誰が観てもおもしろいものと考えている。子供向けだから、大人向けだからと、自分の表現を変えることはしない。」と山村氏。
 6/28から渋谷ユーロスペースで公開されていた「ヤマムラアニメーション図鑑vol.2」モーニングショーでは、子どもの姿も大人に混じって見られました。「ヤマムラアニメーション図鑑vol.2」は、「頭山」を含む全9編。観ていた子ども達は、次第に奇妙でちょっとシュールな山村氏の世界に引きずり込まれていくようで、座席の上に正座してのりだして観ている子どももいました。もちろん、大人もどっぷり。シュールだけれども、観ていると顔がゆるむという感じで、山村氏の「手」の感触が伝わってきます。受賞作品「頭山」に対する印象は大人と子どもでは異なるようです。大人はそのストーリーにも魅せられますが(多分、落語が頭に入っているせいか)、子どもはひたすら、独特なタッチで展開される映像自体の不思議さにくぎづけのよう。観おわるやいなや、「もう1回みた〜い」とのこと。子どもにとっては、何回でも観たくなる不思議さがあるようです。そんな子どもには、DVD版をどうぞ(「山村浩二作品集」/パイオニアLDC)。テレビアニメや劇場用長編アニメとは全くジャンルが異なりますが、大人も子どもも楽しい時間を共有できるこんなアニメーションをどんどん制作して世に送りだしてほしいものです。
   
       
     

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