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■森本 美絵 「そろそろ船の速度をおとして・・」 
 28期生 デザイン学科デザイン I 類専攻写真コース卒業

 
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「何を撮っているの?」と聞かれると困る。なんでも撮っている。最近、アート作品や建築が多い。「アートが好きなんだ」。ようやく美大に行った意味が卒業後十年経ってわかった。アート、ファッション、建築と写す対象は異なっても、自分の中では線引きはない。プライベートでは風景が中心だが、そのプライベートの写真でも、仕事で撮る写真との間に線引きはない。
アート作品や建築を写す・・ああ、こんな居場所があったんだと思っている。スキマ的な部分なのだろう。どこにスキマがあるかわからないけど、結構あるものだ。アートやアーティストの記録の分野は、まだまだ未開拓。それに人がつくったものはとても刺激的。でも、十年後の居場所はわからないけどね。

「何を撮っているの?」の問いに「撮った写真を見てくれ!」とは答えない。それはあまりに横暴な答え。大体答えがわからないから撮っているのだし。学生みたいだけど。でも、人間関係を大切にしている。写真を通して様々な人たちに巡り会うが、なんとなくその縁で仕事がつながっていくみたい。
最近、上限を決めて絵を買う。特に好きなアーティストはない。絵だけでなく、音楽でもなんでも、このジャンルが好きというのはない。お気に入りの曲がたまたまレゲエだったという感じ。最近、建築をよく撮るけど、建築が好きとは限らない。だって、ピロティって何?って感じだし。

*画像をクリックすると詳細ウインドが開きます。

順風満帆?他の人にはそう見えるかもしれない。でも、加速度的に動きの速い周囲に合わせて、今の状態は船をこぎ続けているだけ。回せる仕事は後輩に回すとして、これまでの整理をしてみたい。そろそろ、この船の速度をおとしてみようかと思う。長く写真を撮り続けたいから。そんな意味も込めて、今度、展覧会をする。学生時代、三十才の自分はおよそ想像がついていた。でも三十才の今、四十才の自分は想像つかない。だから、今がスタートラインに立っていると思っている。

自分の置かれている状況をたんたんと話す彼女。そこには好きとか嫌いという言葉は出てこない。自分も含めた世の中をちょっと俯瞰してみている感じ。だからといって、冷めているわけでもないし、落ち着いているのとも違う。とっても正直な人。そんなお人柄だから、人が自然に寄ってくるのでしょうか。

[もりもとさんの作品]
アーティストを撮ろうと、建築を撮ろうと、風景を撮ろうと、はたまたファッションを撮ろうと森本さんの写真だとわかる。なぜわかるのか解らなかったのだがご本人とお話をして少し謎が解けた気がする。森本さんは人でも物でも服でもその物だけを撮るのではなく、人も物も空間に存在するひとつの要素としてとらえて撮っているからではないか。そのスタンスは森本さんの生き方にも似ていると思った。謙虚にそして真摯に長いスパンで物事をみている森本さんの視線そのものだと感じた。(校友会事務 小林真衣子)


森本美絵 もりもとみえ
ランドスケープを中心とした作品制作のほか、アーティストのアトリエやポートレートや展覧会など雑誌や図録を媒体としたアート・ドキュメンタリー・フォトも注目を集めている。写真集「STUDIO PORTRAIT 奈良美智の制作風景」(美術出版社)を刊行。

   
       
     

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