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林 里美 28期生 美術学科 絵画 卒業
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ヒトを作っているモノは何なのだろう

モノを作っているモノは何なのだろう

そして、モノとモノの間に在るものは何なのだろう

私の制作の出発点はこんなナゾナゾから始まっています。

造形大学に在学中から、デジタルプリントや版画を使用し、日常画像をプリントした小さなオブジェをアクリルボックスの中に収めた作品や、アーティストブック、インスタレーションなど、写真画像とテキストを組み合わせた作品を制作してきました。

現在は「memorize−記憶する−」と題するテーマで、耳に入る音、手に触れたもの、目に入る画像など、日常の中で採取したこれらの情報をひとつひとつ丁寧に記憶し、作品化しています。
ここ近年の制作では視覚的表現に時間が少し寄り添ってきたように感じます
記憶したものは何になるのだろう――その疑問を持ちながら、常にモノに対して、繊細でありたいと考えています。
言葉であれ、行為であれ、思考であれ、それが幼いものでも、丁寧に物事を拾い集めて、
そのひとつひとつにどのくらいの差異やズレを、見つけられるか……在学中に版表現というコースを選択したのは「版」の中にそのプロセスを垣間見る事ができたからでした。

私が造形大学に入学したのは、大学舎が高尾から現在の相原に完全移転した年でした。
周囲の学生が公募展や団体展、そして個展など、活発に発表していたなかで、ずいぶんのんびりとした学生で先生方にご心配かけていたと思います。絵画の原先生、生嶋先生には在学中だけではなく、大学院修了後、作家として作品を発表していく中で、とても多くのアドバイスと、ご助力をいただきました。
学生の頃は、作品がある程度の形を持つまでずいぶん苦労したのですが、最近、その頃から現在までの作品を並べてみたら、そこに大きなブレのない事に驚きました。
在学中に先生方にいただいた講評が、いまこうして作品を眺めると、「ああ、こういうことであったのか」とやっと理解できた気がします。

まだ学生の頃、とある年配の作家に「作家としてやっていくならば、10年先を見なさい」と言われました。当時学生であった私には作家としての10年先は途方もなく遠く想像もつかないものでした。しかし、来年で造形大学を卒業してちょうど10年となります。
振り返ってみると、けして短くもなく長くもない10年がそこにあります。
この10年目に、造形大学に非常勤講師として、また大学に戻ってくることになりました。
学生の皆さんの「10年先」の出発点への手助けができたらと思います。


<林 里美>
1997年造形大学卒業後、東京藝術大学大学院修士課程修了、同大学研究生修了の後、 2000年より写真画像を使用した版画、平面、BOX ART、インスタレーションを制作発表。 東京都あきる野市アーティストインレジデンス招聘、文化庁新進芸術家国内研修員などを経て、現在東京造形大学絵画非常勤講師。
11月20日よりギャラリーゴトウ(銀座)にて個展予定

 





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