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35期 美術学科彫刻専攻 中野万理子/ 留学先:スペイン マドリード・コンプルテンセ大学
2006年度第10回校友会留学奨学生レポート
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 私が通うスペインのマドリード・コンプルテンセ大学は16世紀初頭に創立された歴史ある国立の総合大学です。美術学部は18世紀にサンフェルナンド王立アカデミーとして設けられ、20世紀最後の四半世紀にコンプルテンセ大学と美術学部として合併され、現在は広い大学都市の中にキャンパスがあります。ゴヤ、ピカソ、ダリなどが在学し、現代ではアントニオ・ロペスなどを育成した所です。5年制で、1〜3年生までの間に美術全体の基礎(絵画・彫刻・デッサン・デザイン・版画・写真・美術史)を学び、4・5年生からは選授業がほとんどを占め、専門的に1つから2つの分野を集中して学んでいきます。
 私は前年度・今年度と彫刻、版画、デッサンの授業を受講しています。彫刻の授業は、人体塑像、基礎彫刻(木・鉄・石彫刻)、彫刻過程・技術などと造形大学の授業と大きく変わりはないものの、4年間で私が学んできたことをこちらでは2年間でこなすという授業の早さには驚きました。また課題提出も多く、授業数・課題数からして、スペインののんびりした生活イメージとは逆に学生たちはせわしなく勉強しています。
 私がヨーロッパの大学に留学を決意した一番の理由は、石彫刻をより深く学びたいということです。しかし、現実としては素材の石を買うにも道具をそろえるにも限度があり、なかなか思うとおりにはいきません。制作環境、素材確保、道具類など、留学という立場ではこれらをすべてクリアするにはお金と時間という問題にいつもぶつかります。それでも、こちらに来て良かったと思うことが沢山あります。
 スペイン人はおしゃべりが特に大好きで、いつでもどこでも知らないもの同士でもすぐにうちとけて話し始めるので、知らずと会話の中からさまざまな情報交換が行われています。学生たちはとくに、コンクールやシンポジウムがいつどこであるかなどが話題にあがり、とても積極的に活動しています。
 ヨーロッパ全体的、特にスペインとイタリアは石切り場が多くあり、現地で取れる石を使いほぼ毎月何かしらのシンポジウム・コンクールが開かれます。これらのよいところは制作環境、素材、道具、宿、食費・交通費などが含まれていて期間終了後は設置場所も設けられます。また、期間中には講習会や石切り場見学など、大学の授業や一般生活の中ではなかなかない特別な体験ができます。たいてい1、2週間と短時間で1平方メートル近くの作品を制作しなくてはなりませんが、時間と制作過程などプランを立て、期間内で作り上げていくということは技術、または精神面の限界を知ることができ、新しい発見がありよい経験になります。
 私もこの2年目に入って、運良く4箇所の石彫刻シンポジウムに参加でき、作品のいくつかはその町の広場に設置されました。(添付写真)また、同じ石彫刻に取り組む若いアーティストや技術者との出会いもあり、よりよい環境で制作に取り組むことができました。
 今後もスペインに滞在できる間は、積極的にこのようなコンクールに参加していきたいと思っています。
 最後になりましたが、このような貴重な経験ができたこと、その機会を設けていただけた校友会の皆様に深く感謝しています。
参加シンポジウム
・ I semana de escultura rural en ma´rmol (アルメリア)  2006年5月
・ III premio nacional de escultura en ma´rmol(アルメリア) 7月
・ II certamen de escultura al aire libre(セゴビア) 8月
・ IV simposio de escultura en alabastro(テルエル) 9月


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