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照井 壮 29期 美術学科 美術専攻II類 卒業
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 1974年私は有田という焼き物の産地に生まれた。しかし、大学卒業後自ら陶芸の道に進むまで一度もロクロに座ったことが無い程、陶芸の世界を敬遠していた。そもそも有田というところはひとつのものが色々な職人の手を渡って出来ていく分業の産地でその工程の中では自由奔放は許されない。私のイメージでは焼き物とは作家の創造物というより、職人たちの技術の極みで厳粛で我慢して努力しなければ出来ないものだった。
 マンガと映画が好きで美大を選び、センセーショナルな現代アートが好きで彫刻を専攻した私はますます焼き物から遠ざかった。3年の時バイク旅の途中、愛知県で陶芸界の奇才鯉江良二の回顧展を見て衝撃を受けた。斬新なオブジェはもちろんだが、シンプルで彫刻的な実用のうつわたちに今までの焼き物概念を打ち砕かれた。卒業後、迷わず鯉江良二工房の門を叩いた。鯉江先生は「来る者拒まず」すぐに受け入れてもらえた。工房では皆、弟子ではなく居候という身分でそれぞれ勝手に来て、出て行った。居候は海外からも多く、田舎の山奥だったがそこだけは国際色豊かな空間だった。言葉も違えば、文化も宗教も、もちろん焼き物の作り方も。色々な国の焼き物の作り方を間近で見ることが出来た。その中でも一番魅かれたのが昔の韓国のスタイルだった。鯉江工房で出会った韓国のイ・カンヒョ先生のもとに渡り一年間修行した。大陸のおおらかな気持ちで土に向かう姿を雑器の中に見た。その昔ながらの仕事はとても速かった。丁寧というより大雑把、でも「いい加減」というより「良い加減」。そのうつわたちは真っ直ぐのものは無く、ユーモラスに曲がってたり歪んでたり。私の心にすっと入ってきた。
 その後、有田に築窯し独立した。有田従来の素材を研究して独自の調合で磁器土を作り出した。今までとは違った素材感を持つ磁器のうつわを作っている。その作り方は今まで出会った色々な国の作家が見せてくれた技の寄せ集めである。どんな技法を使っても自由におおらかに、たくさん、しかも速く作る韓国の昔の職人のような「良い加減」な仕事をこれからも続けたい。


照井 壮
[1998年]
裸婦像(県展出品作)を佐賀県買上
[2001年]
有田にて活動開始
[2002年]
サッポロ「ビアマグランカイ」佳作賞受賞
[2003年]
日本クラフト展入選
[2004年]
朝日現代クラフト展入選
個展 うつわ楓(南青山)以後’06
[2005年]
個展 新宿伊勢丹 以後’06、’07
照井壮・織衣2人展 器スタジオTRY(新宿区中落合)
[2007年]
個展 日本橋三越
松本クラフトフェア参加

この他、全国各地のギャラリーにて個展多数

2007年これからの予定
11月3日〜 器スタジオTRY 
tel 03-3360-3155
HP http://www.try.gr.jp/
12月8日〜 器らくや悠遊(福岡市)
tel 092-554-2220
HP http://www.yu-yu.tv/index.cgi


<照井 壮>

 





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