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市川江津子 18期 美術学科I類絵画専攻
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 造形大の在学中に自問自答していた事は“何故つくるのか”という事でした。卒業後早くも22年が経った今は、“何をつくるのか”を問い続け、つくり続けています。

 在学中に作品制作に熱中するよりも、そんな根本的な疑問を抱えて四苦八苦していた私を、しっかりと作家の卵としてみてくださり支えてくださったのは、稲葉治夫先生、そして故 成田克彦先生でした。本当にありがたかったなと思っています。当時の高尾山口の大学敷地内には大きな桜の木があり、花びらの散る下で一升瓶を抱えてみんなで飲んだのを今でも良く覚えています... 楽しい学生生活でした。  

 卒業後は数年スランプで何もつくらない時期を過ごしました。アートの意味、時代性、アーティストの役割など、自分の中ではっきりしない限りつくらないと決めていたような気がします。今思うと頑固というか、若かったというか、中途半端がいやな性格なんですね。その後ある事がきっかけで、頭を殴られたような思いで “何をやってるんだ、目を覚ませ!”という声が聞こえました。私はつくるために生まれてきたのに、何をしているんだと。

 そこからはすべてがすごい勢いで動き始めました。1991年にガラスの素材に出会った事が私の人生を大きく変えました。初めて蜂蜜のようにとろとろに溶解したガラスを鉄竿に巻き付けた瞬間のセンセーションは今でも鮮明に覚えています。鳥肌が立って感動していました。翌年1992年にはアメリカ横断、ガラス作家やグラスアートの大学院訪問、1993年にはピルチャックグラススクール参加、そしてその冬には現代グラスアートのメッカであるシアトルに住んでいました。その年の人間国宝作家デール●チフーリ氏と出会いは私のアメリカでの生活を10年間に渡って支えてくれる事になります。6年間ワーキングビザを支給していただき、その後4年間永住権(グリーンカード)を取得するスポンサーになってくださいました。この10年間にチフーリスタジオで学んだ事、出会った人々とのつながりには計り知れないものがあります。そして、2003年に永住権がとれた時点で待ちに待った独立ができる事になりました。作家として独り立ちするのは容易な事ではありませんが、今年で早6年、デザイナーでアーティストでもある夫を始め、いろいろな方の暖かいサポートで作品制作が続けられています。

 私の作品制作は溶解したガラスで紙の上にドローイングをするパイログラフ(焼画)から、メタルやプラスティックを使用した建築的規模の空間を演出する作品にまで渡ります。溶解したガラスの魅力、その素材の可能性には制作するたびに驚かされています。また、すべての作品を通じて、見る方達がすっと入り、何かを感じてもらえる空間を作るのがたまらなく好きです。

 最後になりますが、私は作品を通じて何か澄んだ波動が伝えられればと願っています。是非私のウェブサイトで 作品を見てみてください。


<市川江津子>

東京都中野区生まれ。女子美術大学付属中学●高校で美術の基礎を学び、東京造形大学造形学部美術学科へ入学。1987年に卒業後、東京ガラス工芸研究所にてグラスアートを学ぶ。1993年にアメリカ、ワシントン州のピルチャックグラススクールに参加した事を機に、同年シアトルに移住し作家活動を継続。人間国宝ガラス作家デール●チフーリ氏に師事した後、2003年に独立し現在に至る。アメリカ、ワシントン州シアトル在住

2009年5月まで開催中のベルビューアートミュージアムでの個展を始め、アメリカを中心に展覧会を開催。ニューヨーク、ロスアンジェルス、シカゴ、マイアミ、サンノゼ、シアトルに提携ギャラリーを持つ。東京、ホンコン、マカオなどの都市でコミッションプロジェクトを制作し、2008年にはワシントン州からのコミッションで初めての大規模なパブリックアートを制作。また、舞台美術の制作などコラボレーションも手がけ、シアトルのアーティスト●コレクティブSOILのメンバーでもある。ポロック●クラズナーファンデーションからの奨学金受賞など、受賞歴多々。




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