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長井健太郎 33期 視覚伝達専攻
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2010年度より東京造形大学助教に就任されたアートディレクター/デザイナーの長井健太郎さん(33期 視覚伝達専攻)への15問

少年時代〜学生時代
■どのような少年時代でしたか

運動が好きなごく普通の悪ガキでした(笑)。書道と絵を描くのは好きでしたね。小学校低学年のとき、熱心に絵をやりなさいと言ってくれた先生がいて、言われるまま描いていた覚えがあります。

■デザイナーとしてのルーツや原体験はなんですか

小学校の美術の教科書等で見た、福田繁雄さん、亀倉雄策さん、田中一光さんのポスターが、なんだかわからないなりに気になっていました。中学校の時は自分が所属するバレーボール部のロゴを勝手に作ったり、ユニフォームのデザインを考えたりしていましたね。具体的にグラフィックデザイナーを目指そうと思ったきっかけは、高校二年生の時にジャケ買いした、TEI TOWAの「Future Listening」のLPジャケットです。タイクーングラフィックスというデザイン事務所がデザインをしていたのですが、その時高校の美術の先生にグラフィックデザイナーという職業があるということを初めて教えてもらって、目指す方向が一気に決まりました。

■東京造形大学時代の一番の思い出は
グラフィックデザイナー以外にも、興味がある職業があったので、全てやってみようと思って洋服作ったり、音楽作ったり、友人と映像作ったり、Tシャツ作って表参道で勝手に売ったり…と、学校の機材を使い倒して(笑)、様々なことをやっていました。その時一緒に制作をしていた数少ない友人達とは、今でも付き合いがあります。

タイクーングラフィックス〜グラフレックスディレクションズ
■卒業後の進路についてお聞かせ下さい

いろいろやってみたなかで、やはりグラフィックデザイナーを目指そうと思いました。三年生にもなると、やはり就職について考えるわけですが、どうしてもスーツを着て就職活動をする、ということと、グラフィックデザイナーになるということが結びつきませんでした。自己分析等を行う中で、目指そうと思ったきっかけであるデザイン事務所、タイクーングラフィックスにまずは挑戦してみよう、ということで電話番号を調べて電話して、「現在募集はしていません」と言われながらも、とりあえず作品を送り、その後面接を経て働き始めることになりました。なので、まともな就職活動もせず在学中から働いていて、卒業後もそのまま働いたというかたちになります。二年間働いたあと、フリーで三年ほど仕事をしてから会社を設立することになります。

■2006年に「グラフレックスディレクションズ」設立されましたが、会社名に込められた思いを教えて下さい
かなりマニアックな話になりますが…。アポロの月面着陸の映像を幼い頃に見て以来、宇宙開発にとても興味がありました。あるとき日本はなんでスペースシャトルを作らないんだろう?という疑問を持ち、調べてみると実は作ろうとした形跡があった。それが「HYFLEX(Hypersonic Flight Experiment)」という当時のNASDA(現JAXA)が行った実験で、結局実験自体はデータ収集にとどまり、H-IIロケットに開発がシフトするのですが、その先見の明と心意気に勝手に感銘を受け、会社名の基礎にしました。グラフィックデザインにおいても、やはり実験性と革新性は必要だと思っていたので、HypersonicをGraphicに置き換え、Graflex(Graphic Flight Experiment)とし、Graflex Directionsと名乗ることにしました。直訳すると「グラフィック飛行実験」という意味不明な上に読みづらい会社名ですが、自分では気に入っています。

■CI、BI、エディトリアル、パッケージ、プロダクト等のアートディレクションからデザインまで幅広くご活躍ですが常に心がけていることはなんですか
クライアントの要望に応えるというのはもちろんですが、良い意味で裏切ると言いますか、表現として実験性のある提案も案の一つとして行うよう心がけています。もちろんそれをするためには明確な制作意図、コンセプトが必要になります。客観的な視点を持ちながらブレのないコンセプトを作り、提案するようにしていますね。

アートディレクター/デザイナーとして
■特に思い出に残っている仕事をベスト3はなんですか

○「ジョジョの奇妙な冒険〜スターダストクルセイダーズ」のDVD-BOX
この仕事は、アニメのDVDなのにアニメの絵をいっさい使わない、という提案をしました。この提案が販売側と折り合わず、最終的に原作者の方がOKを出し、販売に至ったという紆余曲折がありました。数字として結果が出たので丸く収まりましたが、途中でデザイナーを変えられそうな危機がありました(笑)。

○「FUJITSU PC PATTERN PROJECT」
この仕事は、私がある本に載っていたのを見た、富士通のインハウス・プロダクトデザイナーの方から連絡を受けて行った仕事です。富士通のパソコンはMADE IN JAPANという強みがあるので、それをイメージしたパターンをデザインしてほしいという依頼でした。最終的に作成したパターンを表面にプリントしたパソコンが販売されました。何よりも、依頼をしてくださったデザイナーの方が実は造形大の卒業生だったので、そういう意味で思い出深いですね。

○「MILENNIUM PANDA」
自分のプロジェクト、「PIECE TOGETHER FOR PEACE」の作品を見た、UNDP(国連開発計画)の執行組織、DEVNET(国際情報発展網)から依頼を受け、上海万博から2015年まで使用するシンボルのデザインを行いました。海外からの初仕事だったのでとても思い出深いです。ただ、万博に招待してもらえる予定なんですがいまだに連絡が来ないんですよね…(笑)。

アイディアに詰まった時の秘策を教えて下さい
ラフスケッチを書き、アイデアを出し尽くし、頭を使いきってから寝ます。起きたら意外と頭の中がすっきりしていて、良い案がスッと出てきたりします。あとは気分転換ですね。風呂に入っている時に、良いアイデアが浮かぶことも多いです。

■今後やってみたいことやはじめていることは
仕事とは別の、自分の作品作りをしています。現在二つの個人プロジェクトを企画し個展等で発表しています。あと三つ程プランがあるので、時間を見つけて進めたいと思っています。それと、映像や音楽にも挑戦してみようかなと考えたりしています。

教育者として
■卒業されて約8年で母校にもどられましたが、当時から後進指導に興味はありましたか

教職もとっていないくらいなので、あまり教育に興味はなかったと思います。ただ、在学中に学校から奨学金をもらったりしていたので、その恩返しとして将来非常勤で呼ばれるくらいの人にはならなきゃな、ということは漠然と考えていました。

■教える立場になられて、造形大や学生への印象は変わりましたか
相原駅が立派になった(笑)のと、12号館が出来ていたということ以外、造形大の雰囲気は学生の頃とあまり変わらないと思います。ただ、大学院生や留学生がいるのは新鮮でした。学生に関しては、僕らの時よりもさらに大人しいかな、という印象がありますね。

■学生へのアドバイスはありますか

学生時代は何でも吸収できる時期だと思います。柔軟性を持って、ジャンル問わずいろいろなものを見てほしいですね。そこから自分のアイデンティティを探っていくというか。あとは海外に行ったりして、世界の中の日本、また日本人と言うものを肌で感じるというのも良いと思います。とにかくいろいろな面で視野を広げてほしいと思います。

人:長井健太郎として
■趣味はなんですか。

○読書。ジャンル問わず読みますが、特にSF小説。宇宙規模の想像力を鍛えられます(笑)。
○レコードあさり。聞くことにより気分転換になるのはもちろん、ジャケットや音楽からデザインのインスピレーションを受けたりもします。
○F1観戦。技術・開発・機能美の最高峰。「疾走する自動車はサモトラケのニケより美しい」。

■今の仕事以外ではじめてみたいこととかありますか。
将来、陶芸をやってみたいと思っています。学生の頃愛媛に行ったときに砥部焼という焼き物を教えてもらう機会があり、とても楽しかったので。

■仕事以外で自慢出来ることはなんですか。
仕事以外はありません…(笑)。


<長井健太郎>

プロフィール
長井健太郎
Kentaro Nagai
(Graflex Directions)
1977年生まれ。東京造形大学造形学部視覚伝達専攻卒業。タイクーングラフィックスを経て、2006年グラフレックスディレクションズを設立。CI、BI、エディトリアル、パッケージ、プロダクト等のアートディレクション、及びデザインを手がけ、ビジュアルコミュニケーションにおける表現の可能性を追求。87th NY ADC SILVERほか、D&AD、NY ADC、東京ADC、Graphic Design inJapan、香港ポスタートリエンナーレ、世界ポスタートリエンナーレトヤマ、文化庁メディア芸術祭等、入賞・入選多数。JAGDA、NY ADC、D&AD会員。
www.graflexdirections.com







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