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大島依提亜 23期 デザイン学科I類
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映画「かもめ食堂」のスーツケース型のパンフレットは映画のヒットにともない増刷に増刷を重ね10万部を越した。すごろく付きパンフレットはウッディ・アレン映画「さよなら、さよならハリウッド」(製作2002年 米 公開2005年 配給:日活) 複雑な登場人物の関係を示した人物相関図付きはデビット・リンチ映画「インランド・エンパイア」(製作2006年 米波蘭仏 公開2007年 配給:角川映画)
アートディレクター・グラフィックデザイナー大島依提亜の作品は映画を数倍楽しめるアイディア(idea)に溢れている。
学生時代は映画監督を目指し自主制作映画を撮り続けていた。卒業後デザイナーとして活動するも映画への思いは消えることはなかった。
「どういう形でも映画にかかわれたらかなり幸せだと思っていました。」そう語る大島は映画への敬愛を胸にデザイナーとして映画を支える日々を送っている。


――まずはお名前の由来をお聞きしてもいいですか。

美術館の館長をしていた父が古代ギリシャの哲学者プラトンの「イデア論」からつけました。この仕事をしていてこの名前だとかえってやり難いところもあり今だに会社名をつけていませんが、同時にこの名前に引っぱられてここまできたのかな‥という思いもあります

――学生時代は映画専攻で自主制作映画を撮られていたそうですが大学時代の思い出は

高尾校舎は10月のCS祭の頃に雪が降ったり、珍しい生き物を探しにきたのか校内で昆虫採集するおじいさんが現れたり山奥の大学ならではの思い出があります。
小さいときから映画を観ることが好きで高校生の頃には映画監督志望で進学先を探していました。東京造形大学は映画専攻もありつつその他の美術分野も幅広く学べるところが魅力でした。絵本や写植、色々なものを学べる環境でしたから浅くても様々なジャンルの世界が見られたのはよかったと思います。それでも1年次から映画科目も多くとり短編映画を撮っていました。多くの同級生が実験映画を撮っている中、劇映画(コメディ)を撮っていたのでういていたかもしれません。それでも登場人物の回想シーンに実験映画的試みをとりいれたりしながら撮っていました。8mmや16mmで撮影したそれらは機会があればデジタル化して観てみたいですね。

――そんな映画漬けだった毎日からグラフィックの道へ進まれたきっかけは何ですか。

グラフィックは卒業後に独学で学びました。当時Macが発売されたばかりでイラストやデザインの仕事をうけていました。誰にも習ったことがないので技術面でなにか間違っているのではないかと思うことは今でもあります。同時に映画監督を志すにはハードルが高いと思っていた頃でもありました。それでもどういう形でも映画に関わりたかったので『映画の仕事がしたい』とことあるごとに周りに話をしていました。「アベック モン マリ」(監督 大谷健太郎 製作1999年)が初仕事でそれから徐々に映画のグラフィックを任されることが多くなり今に至ります。映画の仕事が大半を占めるグラフィックデザイナーは珍しいかもしれません。

――大島さんの作品といえば、丸く抜かれた窓やそこから画像が動く仕掛けなど凝っていますが映画のグラフィックはどのように作られるのですか。

邦画の場合は台本のデザインからはじまる場合もありますし、ポスター撮影をするためロケ地の海外まで同行するなど映画作りに深くかかわることが多いです。デザイナーがそこまで関わるのは稀かもしれませんが、それでも僕は映画という大きな存在の中のひとつの小さな歯車だと思っています。でもそれでいいのです。

――数え切れないほど多くの映画に関わっていますが(数えることを途中で断念したそうですがおそらく100本以上はあるのではないかと)アイディアが枯渇したり煮詰まった時はどのように切り抜けていますか。

煮詰まらない……ですね。煮詰まらない回路を見つけたというのでしょうか。デザインはグズグズやるものではないというか。今のところそういったスランプに陥ったことはないです。確かに当初は映画のように動くグラフィックというものを模索していましたが、今は止まった絵としてデザインに組み込んだ方が映画に深みがでるという結論に至りました。このように施行錯誤はありますが煮詰まって困ったという感じはありません。

――現在はファッションブランドのカタログやブックデザインなど世界が広がっていますがこれから取り組みたいジャンルはありますか。

意外な仕事をいただけることが一番うれしいです。相手が信頼して依頼くださっているということですし、意外性のあるものが好きなので。

――もし、ご自身が監督として映画を撮る機会があればどのような作品になりますか。

わからないです。おそろしい命題ですね。やらないかもしれません。


<大島依提亜>

1968年栃木県生まれ。東京造形大学デザイン学科卒業。
映画、展覧会のグラフィックを中心に、ファッションカタログ、ブックデザインなどを手がける。主な仕事に、映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』『ル・アーヴルの靴みがき』『トイレット』『めがね』、美術展「セザンヌ−パリとプロヴァンス」展」「オルセー美術館展2010」、CD「井上陽水 ベストバラード」「つじあやの つじギフト」「ハンバート ハンバートさすらい記」 書籍「みさおとふくまる」「まこという名の不思議顔の猫」「わたしのマトカ」など。








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