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松田雅史 41期 デザイン学科テキスタイル専攻
Dusseldorf kunste Accademia/ドイツ
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展示作品

 私、松田雅史は東京造形大学校友会留学奨学生として、たくさんの皆様にご助力をして頂き、デュッセルドルフクンストアカデミー(ドイツ)にてアートを学ぶ事が叶いました。
ご助力してくださった日本とドイツの皆様、ほんとうに有難うございました。

 私自身の報告と致しましては、昨年は12月に第一回Graphic Grand Prix by Yamahaというコンペティションにて応募者約1600人の中からオーディエンス賞に選ばれ、今年は2月のドイツの学内展にてお声掛けを頂き、8月中旬から9月後半にかけてケーニッヒスヴィンター(ドイツ)にて歴史的な橋とトンネルを利用した企画展に参加予定という状況です。

 さて、今回の滞在にて私が経験し感じた皆様に伝えたいことは大きく三つあり、
 一つ目は、日本とドイツ(デュッセルドルフ)のアーティストとして感じた環境の違い。
 二つ目は、私が思う事。
 三つ目は、今後海外に滞在される方へ向けて。
 何故この三つを私が皆様に伝えたいのかというと、日本という島国では他国のリアルは分かりづらく、海の外の実際の事はメディアによる想像でしかないので、短期の旅行では分からないリアルを在住した私が少しでも伝えられれば、自分たちの住む日本の環境を再考する材料になるのではと思うからです。


展示作品

 まずは私が参加した今年は2月の学内展を通して日本とドイツ(デュッセルドルフ)のアーティストとして感じた環境の違いから。
 デュッセルドルフ芸術大学の学内展には一週間で3万5千人もの人々が訪れ、中には小学校や中学校の授業で訪れる方々や、観光業者の学内展ツアーを通して来られる方々も、老若男女さまざまな社会的地位の方々が見にいらっしゃいます。
 私自身が展示する側の人間として感じた事は、地域の人々がアート作品に対峙したときに読み解こうとする時間が長く、作品を楽しんでその作品の前で持論を展開するような熱気です。そんな人々に学内展の作品であってもちゃんと売れますし、そういった機会が多い。私も実際に次の制作に向かうことが出来る申し出を受けました。このように地域の人々のアートに対する親しみと理解が深いのかは、恐らくデュッセルドルフやドイツの人々の暮らしと歴史からだと私は理解しています。

 ドイツの暮らしの環境はまず第一に最低限の生活にかかる金額が安く、体感として東京の半分くらいです。例を申し上げますと、比較的家賃の高いと言われるデュッセルドルフでも60平米で5万円程、二名でルームシェアを行っても光熱費込みで3万円程です。食材も日本より遥かに安く、健康保険に加入していれば、来院の一ヶ月のお値段は千円程度です。その代わりかどうかは分かりませんが、遊ぶ事に対するコンテンツの量が日本より遥かに少なく、週刊少年ジャンプやゲームセンター、レンタルビデオショップなど日本のようにたくさんの遊びの種類はありません。その分ドイツの人々は自分の時間を考えることが多く、数少ない遊び場としての美術館や仲間達と呑むビールを楽しむ。
 考える時間が多い場所で生まれた芸術活動が多くの人々の遊び方だからこそ、パウル・クレーやヨーゼフ・ボイスなど多数の歴史に残る芸術家を輩出し、西ドイツ(デュッセルドルフ)の誇れる産業のようなものとしてとして成り立ったのではないでしょうか。
 それ故アーティストや哲学者というアクチュアルには利用価値が少なくとも、どこかで役に立つかもしれないという地域の人々の期待に繋がるのだと感じました。


学内展の様子

 私は日本の社会を高層ビルのようにとらえています。たくさんの階層にたくさんの人々の違った暮らし方があり、壁の向こうの階層はなかなか見えません。たくさんの遊び方があるからです。みんな別々の方向を見ていて、違う階層の人には私達の暮らし方や遊び方にはあまり興味が無いようにさえ思われます。
 私が住んだ海外の土地は小学校のように階層は少なく、もう少しみんなが同じ場所で生きていて、考えていました。
 アーティストやクリエイターとして生きていくのは、高層ビルの一つの階層で生きていくか、高層ビルの窓の外でなるべく多くのみなさんの目を引くのか、高層ビルを壊してもう少し小さくするのか、はたまた小学校に移住するのかさまざまです。
 私自身、高層ビルで生きていく事を決意したアーティストはどう生きるべきなのかを考えていて、作品やモノを売るという価値以外の事に目を向けています。皆様はどう決断されたのでしょうか?

 最後に、海の外に今後滞在される方へ向けてですが自分に向けてでもあります。
 きっと海の外に住む事を決断するには多大な労力がかかるはずです。
 決断するのは恐らく、今の自分に不満があるからなのでしょう。
 本当は場所なんてどこでも良いのかもしれません。
 今の自分を変える事が本来の目的だからです。
 その分どうしようもなく一人になってたくさん考えざるを得ません。
 海外に生活する日本人には多くの別れが訪れて、たくさんの人が帰ります。
 だけれど、海の外にも帰る場所と人が出来るのでまた会える事があるでしょう。
 最終的には場所ではなくて、どんな人とどんな関係をつくるかでその場所の意味が決まってくるはずです。

 お読み頂きありがとうございました。何かご質問ご意見等ございましたら、 masashi matudaと検索して頂き、Facebookやホームページにていつでもご連絡くださいませ。
 校友会の皆様、東京造形大学の関係者の皆様、今後ともよろしくお願い致します。

松田 雅史

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