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保科 功喜 / 留学先:オランダ Royal Academy of Art
2000年度第4回校友会留学奨学生レポート
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(*画像をクリックすると詳細ウインドが開きます。)
 私は2000年9月より、オランダのハーグにある Koninklijke Academie van Beeldende Kunsten (Royal Academy of Art ) でファインアートのリサーチャー(研修生)をしています。
 アカデミーにはデザイン学科とファインアートの学科があり、学生数は昼間と夜間コ―スを合わせると900名程で、オランダでは比較的大きなアカデミーです。また、ここにいる外国人学生は全体の20%で、その他はオランダ人学生ですのでオランダの風習などを友人を通して知る意味ではインターナショナルな学校よりも良い環境だと思います。当然授業はオランダ語で行われますので、外国から来た学生の多くは授業についていくのに苦労しますが、生活面でいえばオランダ人の多くが3カ国語くらいは話しますので、オランダ語ができなくてもある程度英語ができればコミュニケーションに困る事はないと思います。

 アカデミーのリサーチャーは私一人なので、特に決められたプログラムはなく、版画を中心に自主的に研究・制作を行っています。私の作品に興味を持ってくれる人が多く、学生に対して版画の技術的な指導を行うこともありますが、彼等から学ぶことも多く、とても良い経験を重ねています。

 オランダに来てからの9ヶ月、さまざまな物事が私にとって刺激的で、時間の経つのがとても早く感じられます。まだ9ヶ月という短い間ですが、多くのアーティストと出会い交流することができ、とても有意義な日々を過ごしています。アカデミーには木版を主に制作しているグラフィックアーティストのトム・タイス氏がおり、彼は日本でも何度か展覧会をしている関係で日本の事にとても詳しく、驚かされました。彼は私のチューターでもあり、制作面でも相談にのってもらっています。アカデミー以外では、ヨーロッパで活動されているグラフィックデザイナーの綿野茂さんの紹介で、グラフィックアーティストのトン・マーテンス氏と出会い、時々彼の自宅に招かれて、作品の話やオランダで作家を続けていく事に関する諸事情について聞く事ができ、日本とオランダの美術に対する社会的なバックアップの違いについて考えさせられました。彼は日本でも何度か活動しており、阪神大震災で崩壊した建物の跡をフロッタージュして記録に残したり、「コートジャーニー・プロジェクト」として江戸時代の「オランダ商館長の江戸参府」の道を彼の息子と共に40日間かけてたどり、フロッタージュを主体とした表現を試みるなど、オランダ国内に留まらず、精力的に活動しているアーティストです。トン・マーテンス氏が行った「コートジャーニー・プロジェクト」が掲載されているホームページアドレスは次の通りですので、興味のある方はアクセスしてみてください。

http://www.reversible.co.jp/town/back1/231TB
/231T000B.html


 又、友人の父親でもあるグラフィックデザイナーのヨ−プ・モマ−ス氏と知り合い、クリスマスに自宅に招いてもらうなど、とても良い人達に巡り合う事ができました。他にも沢山のアーティストと出会う事ができ、とても刺激になりました。今後もハーグのアカデミーでリサーチャーを続けながら、オランダについてのさまざまな事柄を学ぶとともに、メインで制作する場所をアムステルダムのスタジオに移して活動していこうと考えています。海外生活は私にとって初めての経験であり今後も色々な事があると思いますが、人と人とのコミュニケーションの大切さや、社会とアートの関わりなどを引き続き学んでいきたいと思います。

 中間報告のようになってしまいますが、オランダに来て日々過ぎていく時間をこの報告書を通して振り返る事ができ、改めて今後の制作を考える良いきっかけになりました。校友会から奨学金を頂き大変助かりました。ありがとうございました。

 

 

 

 

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