岡村多佳夫企画
佐野陽一展<transparency-light, quantity>
2001年5月4日-16日 アユミギャラリー
 僕はこれまで形式から還元される手法によって作品を制作することを試みてきました。
近年のピンホールを用いた一連のシリーズも、レンズという物質の介在しない被写 体(対象)とフィルム(記録媒体)との一対一の関係、より直接的な関係性という観点からの結果導き出されたものです。そして、同時に原初的なメカニズムに立ち返ることによって「写真」そのものが持つ問題や要素を明確にすることが出来うると考えたからです。

一見素朴なピンホールの方法論はしかし、単にノスタルジックなイメージを紡ぎ出すだけではなく、高速度のシャッタースピードによっていとも容易く計測可能な単位に分断された事象-抑圧され確定された事象を、ふたたびそれ本来の計測不可能な姿へと連れ戻すことを可能とします。
様々な可能性が繰り広げられる本来の姿へ、渾沌とした豊かさの中へ解き放つことを自身の純粋さでもって可能とするのです。
■略歴■
1970年:東京都練馬区生まれ。
1994年:東京造形大学造形学部デザイン学科2類環境コース卒業。
1996年:同大学研究生修了(岡村多佳夫研究室)。
東京都写真美術館学芸課非常勤職員を経て
現在、東京芸術大学先端芸術表現科非常勤講師。
写真・インスタレーション専攻。

■個展■
1996年:東京日仏学院ギャラリー(東京)
横浜日仏学院ギャラリー(神奈川)
1998年:アユミギャラリー(東京)
1999年:ギャラリー檜(東京)
2001年:アユミギャラリー(東京)
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